「とうさん・・・お願いがあるんだけど・・・」

「テトム、どうやって畑から出た?」「え?」

「バックして出たろう!耕したところをなんでまた通るんだ?」

「ごめん、とうさん、もうしないから、ねえ、聞いて」

「テトム、何度言ったら分かるんだ。」

「ごめんなさい。ねえ、聞いて、聞いてよ」

「緑族のことならごめんだぞ!」

「とうさんが緑族が嫌いなのは分かってるよ・・・

  でも、助けたいんだよ。お願い」

「ダメなものはダメだ!しつこいぞ!」

「お願いだよ。ピーラのおばあちゃんが死にそうなんだよ、だから、ねえ」

「緑族の土地は陽が沈まないんだ。だから作物が多く採れる。

  だから値段も安くできるんだ。分かるか?ここの土地の奴が

  同じ値段で売ってたら儲けるどころか土地を手放さなきゃならない。

  でも緑族はおかまいなしだ。自分達だけ儲ければいいのさ。

  そんな連中に手を貸せるか!」

「でも友達なんだよお」

「うるさい!飯がまずくなった。もういらん!」バタン

とうさんはドアを勢いよく閉めて出ていってしまった。

「ごめんよピーラ」

「こっちこそ悪かったな、おやじ達のせいで大変なんだな・・・」

ピーラは余計にションボリしてしまった。

そのときテトムはふと思い出した。

「たしか、じいちゃんのところにフライヤーがあるはずだよ。

  もう、何年も見てないけど、たぶん、まだあると思うな。」

「ホント!連れてってくれる!」ピーラの顔に明るさが戻った。

「少し離れてるから急いでいこう」

そう言い終えると再び耕作機に乗り込んだ。

スイッチを入れるとパネルの足回りのメニューでリミッターを切り、

ギアを前に倒した。

耕作機は勢いよく走り出した。