「じいちゃーん」

「おじいさーん」

「どこに行ったのかなあ」

「おじいさんなら裏よ。よく来たわね。ゆっくりしてってね。」

 おじいさんの身の回りの世話をしているおばさんだった。

「今、クッキーを持って来てあげるからね。」

「ありがとう、でも急いでるんだ。」そう言うと小屋の裏に向かった。

ピーラは貰いたかったようだ。「急いでるんでしょ、ピーラ」

「わかってるよ」

小屋の裏についてみると、透明の温室が5つ建っていた。

「やあ、やあ、よく来たなあ」「じいちゃん温室増えてるね」

「ああ、種類が増えたんだよ。だから足りなくなったのさ」

おじいさんはここでハイブリッドの実験をしていた。

緑族に負けない収穫高をあげるために新しい品種を研究していたのだ。

「おお、そにいるのは緑族の子だね。君たちには負けないよ。」

そして、ニッコリと微笑んだ。

ピーラは予想外のことにモジモジしてしまった。

最近、緑族に対して敵対的な人間がほとんどだったからだ。

「ねえ、じいちゃん。フライヤーはまだあるの?」

「ああ、あれなら農薬散布用に改造したんだよ。見るかい?」

「ぜひ見せて下さい!」ピーラの声が突然大きくなった。

「こっちへおいで」

言われるままついていくと、温室の向こうに赤い機体が見えた。

「なんだ、プラズマ式じゃないんだ」

ため息混じりにピーラが言った。100年以上昔の型だったのだ。

「バカにしたもんじゃないぞ。らせん状ダブルプロップファン方式だぞ」

「じいちゃん、これ動く?」「バッチリさ。新品同様だよ」

「お願いがあるんだけど・・・聞いてくれる?」「ああ、言ってごらん」

「ピーラを連れてって欲しいんだ」「どこにだい?」

「あれ?」

テトムはピーラがどこに行きたがっているのか聞くのを忘れていた。

「アルメリアの花を摘んで来ないと、おばあちゃんが死んじゃうんです。」

またピーラは大粒の涙をこぼしていた。

「だが、この辺りには生えていない植物だなあ・・・うーん

  力にはなりたいが・・・」しばらく考え込んでしまった。

「もしかしたら、ここから南へ200キロ程の植物園にあるかもしれないな。

  さっそく行ってみよう・・・でも、ちょっと待っててくれないか」

少しして小屋から出て来たおじいさんはパイロット・スーツ姿だった。

歳よりもずっと若くみえた。「じいちゃんカッコイイね」「そうだろう」

自慢げに胸を張って見せた。

「さて、お待たせしたな。出発しよう」

二重のらせん状のプロペラがそれぞれ逆に回転を始めた。

動き始めると意外にもすぐに空に舞い上がっていった。