風が心地良く顔に当たる。

ピーラが突然歌い出した。

「我々の空気〜我々の太陽〜共に歩もう〜この大地で〜」

「子供なのに良く知っているなあ、そんな古い歌。

  もう10年以上になるよな、歌われなくなって・・・」

おじいさんの記憶は過去へ戻っていった。

「まだ、たまにお父さんが歌ってますよ。」ピーラが言った。

「まさか・・・そんな・・・」おじいさんはいぶかしげている。

「本当ですよ。祭りにはみんなで歌いますよ」

「なんと・・・」おじいさんは考え込んでしまった。

この歌は緑族とおじいさん達ネイティブの繁栄を願う歌だったのだ。

頭が混乱していた。どういうことか分からなかった。

しばらく沈黙が続いた。おじいさんは考え込んだままだった。

最初に口を開いたのはテトムだった。

「下にきれいなピンクの花畑があるよ」

「ん?もしかしたらアルメリアかもしれんな。降りてみるか。」

レバーを倒して出力を少し下げた。機体は滑らかに滑空していった。

フライヤーは花畑のわきにきれいに着陸した。

「さすが、じいちゃん、操縦がうまいね」

「いやいや昔はもっと上手かった。腕が落ちたよ。」

花畑は風で波打っていた。

「これアルメリアですよ!」遠くでピーラが叫んだ。

いつの間にかピーラは花畑の方へ行っていた。

「たくさん生えてますよ」

「よし!手伝うぞ」おじいさんは大股で近づいていった。

3人は小さなピンク色の花を摘み始めた。

いつのまにか、さっきの繁栄の歌をみんな口ずさんでいた。

陽はだいぶ西に傾いていた。