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そして、目を閉じてうつむきながら小声で何か呟いていた。
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さっきは壊れたけどね。」テトムはピーラの肩にやさしく手を乗せた。
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「オホン!」おじいさんがバツ悪そうにせき払いをした。
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「ない・・・」ピーラが足下を覗き込んで何かを探し始めた。
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「どうしたの?ピーラ」すぐにテトムは悟った。「まさか・・・ないの?」
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「おじいちゃん!戻って!ないんだよ!アルメリア!」
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「なにっ!」おじいさんはピーラ達の足下に目を凝らした。
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おじいさんはフライヤーを急旋回させた。3人に緊張感が走る。
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ピーラのおばあさんも、死なせてしまう可能性があるのだ。
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「間に合わんかもしれん・・・」おじいさんは心の中で呟いた。
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180度反転した機体はまっすぐ夜の波に向かって突き進んでいた。
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もし”夜”にのまれれば、ピーラは呼吸が出来なくなりあっという間に
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間近に迫った”夜”はネイティブには害はないことをテトムは知っていたし、
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「うううううぅ」ピーラは恐ろしさのあまり声を出していた。
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上空から石造りの町が見えたが、既に半分以上”夜”に呑まれていた。
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「おじいちゃん、ピーラを降ろして僕達だけで取りに行けば
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いいんじゃない?僕らだったら平気だし・・・」テトムが口を開いた。
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「なるほど・・・急げば間に合うかもしれんなあ・・・」
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「よし!それでいくか!」機体は急降下した。地面が急激に視界に広がった。
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砂煙りが上がった。地面から2m程のところで急減速したのだ。
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「お、おじいちゃん、いつ覚えたの?こんなテクニック」
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おじいさんはピーラの右肩に注意しながら、地面にそっと降ろした。
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「お願いします」ピーラの声は緊張でこわばっていた。
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「よし!行くぞ!」おじいさんは自分自信に気合いを入れた。
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そして”夜”の真っ只中へスピードを上げて突き進んで行った。
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「心配しなくても大丈夫だ」自信は全くなかったがテトムの前では嘘を言った。
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「飛び込むぞ!」「うん!」テトムはきつくまぶたを閉じた。
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テトムは目を開けた。視界いっぱいに”夜”の世界が広がっていた。
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あちらこちらにうみくらげが星がまばたきをするように明滅を繰り返しながら漂っていた。
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「おじいちゃん、どのあたり?」「あ、あった!あの大通りだ!」
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通りの両側には街灯がきらめき、大通り自体が明るく照らし出されていた。
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