”夜”はすでに町を完全に包み込んでいた。

”夜”の淵は海の中から見た水面のようにきらめいていて、

太陽の光は放射状に”夜”の中まで長く差し込んでいた。

テトムはピーラにもこんな”夜”を見せてあげたいと思った。

「テトム、もうすぐ抜けるぞ!」「うん!わかった!」

ざざざーーーーん

「うわっ!」まぶしくてテトムは思わず声をあげた。

「うわっ!」今度は機体が急降下しだした。

地面に目をやると、ピーラが必死で”夜”から逃げようとしていた。

「ピーーーラッ」「テェトゥムーー助けてーー」「今、行くからねーー」

みるみるピーラと”夜”との距離が縮まっていく。

「助けてよーー」ピーラはあまりの恐怖に走りながら泣きべそをかいていた。

そのときだ。

”夜”の中から物体が飛び出した。

その物体はまっすぐピーラのほうへ低空で近づいていった。

「おじいちゃん!あれなに?」「わからんが、ピーラをなんとしても助けなければ」

おじいさんとテトムを乗せた機体は、謎の物体に近づいていった。

謎の物体は銀色で太陽の光を強烈に反射させていた。

「テェトゥムーー!これなにーー?」「わからないよーーー」

バサッ

「助けてーーー」

謎の物体から放たれたネットがピーラを捕らえたのだ。

「なんということだ!」「ピーラーー!」

謎の物体はピーラを吊り上げ上昇していった。