「待てぇー!」おじいさんは機体を急上昇させた。

銀色の物体はどんどん離れていく。

「おじいちゃん、もっとスピード出ないの?」「くそぉー!このポンコツめ!」

銀色の物体は水平飛行に入り、さらにスピードを増していった。

「なんてこった・・・」「おじいちゃん!あれ見て!」「おお!」

銀色の物体に向かっていくつもの同じ銀色の物体が集まってきていた。

数十もの銀色の物体は編隊を形作っていった。

「すごい数だね・・・」「そうだな・・・」

「あ!あれ見て!」テトムは編隊の方を指差した。

それぞれの銀色の物体の下から無数の赤い球状の物体が吹き出していた。

「なんじゃ、あれは?」

赤い球状の物体は”夜”の上に少しずつ降り注いでいた。

「おじいちゃん!なにあれ?」「わからん!なんだ!こっちにも降ってきたぞ!」

ゴゴゴゴゴーン

機体からは夜の上の方が断続的に明るくなるのが見えた。

夜は赤い球状の物体が炸裂するたびにその周りの”夜”の部分を消失させ、

嵐の海のように波打っていた。

「まずい!あれは爆弾だ!」

おじいさんは機体を地面に向けた。

脇を赤い爆弾が2個すり抜けていった。大きさは30センチくらいだろうか。

テトムは思わず上空を見上げた。「うわー!」

無数の赤い爆弾が降り注いで、機体へ襲い掛かってきていた。

「お、おじいちゃーん!」「分かってる!」

おじいさんは何度か操縦レバーを持ち直していた。

「よし!いくぞ!」

機体は左に旋回しながらスピードを上げていった。

右上空から赤い爆弾が5個か6個ぎりぎりのところをすり抜けていった。

機体はさらに深く左に水平に直角に移動し、その場で機体をローリングさせた。

赤い爆弾は機体の前後を凄いスピードで通り過ぎていった。

機体はおじいさんの視線の先へ次々とジグザグに移動していく。

そのたびに元いた場所に赤い爆弾が2個から5個くらいずつ落下していった。

テトムは座席の前の取っ手に必死になってつかまっているので精一杯だった。



「テトム、もう大丈夫だ」



テトムは顔を上げ、辺りを見回した。

機体は水平飛行に入り、夜からはすでに大分離れていた。

「おじいちゃん、すごいね!」「昔はもっとすごかったんだぞ、こんなもんじゃなかった」

おじいさんは得意気だった。